先月の5月12日、毎年この時期に開催される「国際バラとガーデニングショウ」に行ったときの帰りのことです。ショッキングな場面を目撃してしまいました。 |
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西武ドームのガーデニングショウ会場を出て、55号線を夫と駐車場に向かって歩いていたときでした。数分歩いた右側に小さなロータリーがあり、西武球場前というバス停があります。
そのロータリーからちょっと入った場所に、うずくまったような小さな物体が目に入りました。近づくにつれそれが鳩だということが分かりました。 |
鳩は車に轢かれたのかビシャっと押しつぶされ、羽が地面に広がって、そこからおびただしい血が流れ出ていました。でも鳩はまだ生きていました。この状態ではどんなにか苦しいだろうと想像に難くありませんでしたが、鳩には人間ように喜怒哀楽の表情がありません。
鳩はいつものように、まんまるい目をして顔だけを右に左にと動かしていました。すぐ近くには1羽の鳩が動こうともせずについていました。少し先にも5・6羽の仲間の鳩が固まっていました。
鳩だって痛みもあれば苦しいはずです。動物病院に連れて行こうと思いました。反面、べっとりと血のりがつき、すでに鳩の形をなしてないからだを病院まで運ぶときの気持ち悪さを想像し、一歩を踏み出せないでもいました。
夫に打診すると、もう病院に連れて行っても助からないから仕方がない、と言います。 |
人間であれば大騒ぎになり、すぐに救急車を呼び病院に運ぶことができます。けれど野性の動物はまだ生きていても死を待つだけです。後ろから若いカップルが鳩をチラッと見て、可哀そうにと思ったのか、眉をひそめて通り過ぎて行きました。
こんな状況にありながら、鳩は自分の身に何が起こったのか理解できずに、首だけをキョト、キョトと動かしていました。それは助けを求めているようで、哀れでした。華麗なガーデニングショウの余韻もどこへやら、駐車場に着くまでの間、この光景が頭から離れませんでした。
駐車場から家に帰るまでは、またあの道を通らねばなりません。「もう一度あの前を通るけど、見ない方がいいよ」夫はそう言います。私もそう思いました。分かっていながらその場所に近づくと、私は横目でチラッと鳩を見てしまったのです。 |
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この間、7、8分でしょうか。そこにはもっとショッキングな場面が展開していました。通り過ぎるその一瞬目撃したのは、カラスが両足を鳩の羽の上に乗せ、ちょうど鳩の肉をグイッと力任せに食い千切っている、まさにその瞬間でした。
鳩が死んだ直後に啄ばんだのか、それともまだ生きているうちに襲いかかったのかは分かりません。 |
家の近くでカラスがゴミ袋を破き、中のごみを食べている場面は何度か目撃しています。でもカラスが目の前で鳩の肉を食い千切っている様子は初めてのことです。それもたった今まで生きていた鳩を・・・。
鳩のからだは食いつくされた後らしく、ペチャンコになった羽だけが見えました。 |
野性動物の弱肉強食の世界はテレビなどでも見ています。このことは動物の世界では普通のことなのでしょう。この都会でも私が知らないでいるだけで、日常茶飯事、当たり前のようにこんなことが起こっているのかもしれません。
今回は私の目前で事が起こったので、ショックもありました。でもよく考えてみると、私たち人間だって家畜を殺して食しているのです。
ここ最近、宮崎県での口蹄疫発生で、大量の牛が処分されたことが大々的に報道されました。昨日の6月17日の新聞にも、国富町で新たに口蹄疫の疑いのある牛が234頭も殺処分されるということが載っていました。これも人間が牛の肉を口にするための行為です。
牛や豚肉・鶏肉などは切り見として見ているので抵抗なく食べていますが、屠殺場でその牛や豚の悲鳴を聞いたら、はたして美味しいと思って食べられるのか、人間だって生きていくためにははるかに残酷なんだなと、鳩の死通して改めてそう思いました。 |
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