帰り道、医師の言ったことを反芻していました。
「ま、あまりくよくよ考えないことですね。 かと言ってのんびり構えていてもこまりますけど。」「結果がでたあとのことは、そのときにまた考えましようよ」
私には長い間ガン検査をしていないという負い目がありました。それに血縁者である母のガン。特に医師の「結果がでたあとのことは、そのときにまた考えましょうよ」と言った不用意な言葉。この言葉は重い含みとなって私を苦しめ、日に何度となく診察室でのことを思い返していました。
― のんびり構えちゃいけないって、どういうこと? 何でもないこともあるのに、 結果後のことをなんで持ちだすの? まるで何かあるみたい・・ ―
― もしかして先生は初めから分かっていたのかも。念のための検査だったんだ ―
― あの影、1,8ミリくらいあったかな、 あの大きさならもう手遅れ? 転移して いることもある訳 ? ―
初めは単なる疑問でしたが日を追うごとに疑心暗鬼を生じ、疑いはどんどん深まっていきました。胃は正直なもので、すぐに水分以外何も喉を通らなくなりました。結果が分かるのは連休明けの5月6日で、10日後でした。 |