神代植物公園の正面玄関前の花壇
【したたかなビブリス フィリフォリア】
時期的には花の見ごろではありませんが、先日、神代植物公園に行ってきました。
大きく華やかな花もあれば、よく見ないと分からないような小さな小さな花まで、それぞれが美しく個性を発揮していました。花の少ない夏とはいえ、すっかり魅せられてしまいました。
入口から少し先に売店があり、そこで季節の植物を販売していました。下の写真はビブリス フィリフォリアという花です。コスモスのような感じの花で、すぐに折れてしまいそうなほど可憐で優しい感じの花ですが、店員さんによると比較的新しい種で、食虫植物だそうです。 |
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葉や茎にたくさんの腺毛があり、そこから水滴状の粘液を出して、蚊やハエなど小さな虫たちを捕らえ、その落ちた死骸を養分として活用するのだそうです。
写真では分かりにくいのですが、花茎に水滴が集まり、夏の強い日差しを浴びてキラキラ、キラキラと輝き、食虫植物とは思えない美しさでした。昆虫が花の魅力にイチコロになるのも無理からぬこと、続いて私もニコロです。
か弱そうな花に見えても、生き延びていくには強かさと健気さとを合わせもっているのですね。 |
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【キクのけなげなさ】
母の49日法要の日でした。車から降りたときです。目の前に、ちらッとかすめたものがありました。それは隣のアパートの駐車場とわが家の車庫との境目の、コンクリートの割れ目から咲いていた、淡いあわいピンクのキクの花でした。
こんなところに、こんな可憐な花が咲くなんて・・・。 |
8年前、母は末期の食道がんと診断されました。高齢なこともあって手術は難しく、残酷にも、ただ死を待つだけでした。
元気な今のうちにと、あちこちと旅行に連れだしました。初めのうちはよかったものの、そのうち歩くことも困難となり、旅行に行くことも適わなくなりました。入退院を繰り返す日々が続き、がんと診断されてから2年目に亡くなりました。
わが家に咲いていたキクのこぼれ種が咲いたのでしょう。いつから咲いていたのでしょうか、今までまったく気付きませんでした。けなげさがひしと伝わって、何かを訴えかけているようにも思えました。
毎年、花が終わると剪定をし、次の年のために備えるようにしています。 |
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園芸用のキクは日本で発達した和ギクと、日本のキクがヨーロッパに渡り、品種改良された洋ギクとに分けられます。
和ギクは伝統的な秋の花で、サクラに次いで日本を代表する花です。品種によって形態がさまざまで、大菊・中菊・小菊・一重咲き・八重咲・ポンポン咲き・平咲き・丁字咲きとあり、花色も赤・白・黄・など幅広くあります。
また外国に渡ったキクは、その地での育種がすすみ、1本の茎に多くの花が咲くスプレイマムや、茎が短く、矮性でよく分枝し、鉢植えに適したポットマムの二つのタイプがあり、日本に逆輸入されています。どちらも色鮮やかな花です。
キクは仏花としてのイメージが強い花ですが、改良が進んだ洋ギクなどは洋風のアレンジもしやすく、ほかの花と組み合わせた小さな花束は、プレゼントにぴったりです。 |
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【瀕死のクンシラン】
放っておいたクンシランが咲いていました。忙しさにかまけ、世話をするのを忘れ、長い間肥料も水も与えずそのまま放っておいたのです。もう枯れていたものと思っていました。
ひん死の状態で、最後の力をふりしぼって花を咲かせたのでしょうか、「私を忘れないで!」と訴えているようでした。
枯れた葉の間から目の覚めるようなオレンジ色の花。まさに掃き溜めに鶴です。
急に花がいじらしく、すぐに古い葉をとりのぞき、水を与えました。葉は枯れてもみごとに花をつけるけなげさに脱帽です。 |
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クンシランは名前にランとついていますが、ラン科ではなく、ヒガンバナ科の多年草で、葉は常緑で、秋には実も成ります。
花期には濃い緑の葉の間からとても太い茎を伸ばして、6〜9弁の花を花茎の先に散形状につけます。十数個のオレンジ色の花を咲かせる様子は、文字どおり君子のように華麗で気品があります。花色はオレンジのほか、黄色い花をつける黄花クンシラン、葉幅の広いダルマタイプ、斑入り葉種などの品種もあります。
一年中暖かいところに置くと花茎が短くなり、花が葉の間で咲いてしまいます。葉は丈夫そうにみえても、強い直射日光に当たると葉やけをおこすので、半日陰に置くのが適しています。
またすぐに鉢内に根がまわるので、年ごとに根を整理して新用土に植え替え、子株の葉が10枚くらいになったら株分けします。 |
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【ど根性のピラカンサ】
お隣さんの塀と溝のわずかなすき間にピラカンサが根付きました。実をたわわにつけています。
葉だけのときは目立たず、分からなかったのですが、この1・2年で花が咲き、赤い実をつけてから気づきました。それにしてもピラカンサは生育が早いですね。
ピラカンサは初夏に白い花をつけますが、何といっても秋の終わりから冬にかけて、赤や黄色の実が美しく印象的です。
今年も実をたくさんつけています。これから秋に向かって実が色づくと、道行く人に新たな驚きと感動を与えてくれることと思います。
またピラカンサは、冬の間ヒヨドリなどの鳥たちの絶好の食物となっていますが、この木は道路にあり、人の往来があるため、鳥たちが近寄れません。
わが家のピラカンサは実がすぐになくなりますが、この木で長期間ピラカンサの美しさを楽しませてもらっています。
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日本で多く栽培されているピラカンサは、タチバナモドキ・トキワサンザシ・ヒマラヤトキワサンザシの3種で、たわわになる赤い実が日光に映え、鋭いトゲのある樹木です。オレンジや黄色の2種を寄せ植えにしたコンテナも流通し、最近では種間の交雑による園芸品種も出回っています。
5月から6月にかけて白い小花が枝全体を覆うように咲き、秋には、鮮紅色や黄色の実が美しく色づき、1年に2回、違う眺めを楽しめる植物で、花同様に見応えがあります。
ただ、日陰では実が付きにくいので日当たりのよい場所で育てます。また花は、その年に伸びた下の方の短い枝に咲くので、3月の下旬頃に伸びすぎた枝を切り戻しておきます。
常緑樹で耐寒性や耐暑性に優れ、強い刈り込みに耐えられる性質なので、鑑賞用のほか、生垣などによく利用されています。 |
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【今年も路上のキクとピラカンサの実が成りました】
駐車場の割れ目から今年もキクが咲きました。少々枝が増え、大ぶりです。 |
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キクとピラカンサです。分かりにくいでしょうが、上方の電信柱の横に咲いているのがお隣のピラカンサです。 |
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